夕焼けあんたいとるど。

2010年12月21日

2010 BEST DISC 95 - 91

100 - 96
 
 

95. The Drums / The Drums
ザ・ドラムスザ・ドラムス
ザ・ドラムス

ホステス 2010-06-09
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陽気なウキウキフィーリングに乗せて冒頭から死んだ友人への思いを吐露し、全てを忘れるために「ママ、サーフィンへ行こう」…悲しすぎる。切実なる想いを表現する上でノスタルジアの上で踊るという選択肢は紛れもない正解だったのかもしれない。ただ単に僕には時々漂うその80年代の香りが、熱狂をクールダウンさせてしまう要素となったというだけの話でね。
 
Myspace
 
 
 
 
94. The Big Black And The Blue / First Aid Kit
ザ・ビッグ・ブラック・アンド・ザ・ブルーザ・ビッグ・ブラック・アンド・ザ・ブルー
ファースト・エイド・キット

ホステス 2010-02-24
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ストックホルムのホーリー姉妹の処女作はあまりにも穢れがなさすぎて、このままならない現代を生きる上での武器とはならなかった。だがしかし、逃避を渇望する磁場において機能するかもしれないという可能性を感じた。それでも、森ガールというタームでの回収はダメ、ゼッタイ。

Myspace
 
 
 
 
93. The Back Of His Hands, Then The Palms / Ghost Society
ザ・バック・オブ・ヒズ・ハンズ、ゼン・ザ・パルムズザ・バック・オブ・ヒズ・ハンズ、ゼン・ザ・パルムズ
ゴースト・ソサエティ

バウンディ 2010-08-04
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比較的低調だった感のあるデンマークシーンに咲く一輪のホワイトノイズ。昨年のTV Ghostに続くGhost枠(なんだそれ)に飛び込んできたのは、穢れを知らないドリームポップ。コーラスにMewのヨーナスが参加&絶賛。前述の要素が全編に漂ってはいるが、ネオアコ風味の曲あり、M83みたいなキラキラシンセサウンドもありで、なかなか楽しい白昼夢です。

Myspace
 
 
 
 
92. Rat A Tat Tat / Jason Collett
Rat a Tat TatRat a Tat Tat
Jason Collett

Arts & Crafts 2010-03-09
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アーツ&クラフツの酔いどれボブディランのシンプルながらも才気溢れるフォーク&カントリー。BSS周辺の充実具合を象徴するかのような好盤。時々適切なキレキレ感があって素敵です。
 
Myspace

 
 
 
91. Hustler's Son / Jason Boesel
Hustler's SonHustler's Son
Jason Boesel

Team Love Records 2010-01-12
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Rilo Kileyのドラマー、Jason Boselのソロ。オルタナカントリーマナーにそった温かみのある1枚。それ以上でもそれ以下でもないが、これからの季節、傍らに必要なのはこういう作品ですね。

Myspace

 
posted by みかんぱ at 02:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 年間BEST | 更新情報をチェックする

2010 BEST DISC 100 - 96

まずは100位〜96位。

100. The Courage of Others / Midlake
ザ・カレッジ・オブ・アザーズザ・カレッジ・オブ・アザーズ
ミッドレイク

ホステス 2010-02-03
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陽気なフィーリングで逃避を渇望した連中によって活況を見せたシーンにおいて、むせかえる様な叙情性を携え、世捨て人的な風情を色濃くしたこの最新作は、かなり異色の輝きを放っていた気がする。前作のライトな少年性は一体どこへ。参照点はフェアポートコンヴェンション。霧深い森へ、いざ行かん。
 
Myspace

 
 
 
99. Shake / Shiver / Moan / 22-20s
Shake Shiver Moan (Dig)Shake Shiver Moan (Dig)
22-20s

Tbd Records 2010-06-21
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自分の中ではすっかり「2ndはなかった」というポジショニングとなってしまった感のある彼らの復帰作。本来であれば、100枚の中に名を連ねる作品ではないが、ライヴ込みでここに置かせてもらう。あまりにも鮮烈過ぎた1stの影をついつい追いかけてしまうが、活動を再開してくれたということはそういう作品をまた作ってくれる可能性がある、ということだ。その事実だけで、今は十分である。

Myspace
 
 
 
 
98. Frankie Rose and the Outs / Frankie Rose and the Outs
Frankie Rose & TryoutsFrankie Rose & Tryouts
Frankie Rose & Tryouts

Slumberland Records 2010-09-21
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近年のシーンを象徴するかのような逃避系ローファイガレージサウンド。時々シューゲイズ。Vivian Girls、Crystal Stills、Dum Dum Girlsのドラマーを務めていたFrankie Roseのバンドだそうだが、ホントにまれに上品さというかオーケストラルな雰囲気が垣間見えるので、それらのバンドとはまた違った聴き方ができるだろう。ただやはり、今年のシーンのカラー丸出しな1枚だ。

Myspace
 
 

 
97. Saint Bartlett / Damien Jurado
Saint BartlettSaint Bartlett
Damien Jurado

Secretly Canadian 2010-05-25
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「森おっさん」という憤怒極まりないコピーをつけられているシアトルの鬼才SSWの新作。まあ確かに前作よりもくぐもったプロダクションで、浮き世感は炸裂している。で、これがナイーヴな歌唱にマッチ。でも僕は前作の朗らかなポップの方が好きかなあ。何にせよいいメロディ書きますね、この人は。

Myspace
 

 
 

96. Mimicking Birds / Mimicking Birds
Mimicking Birds (Dig)Mimicking Birds (Dig)
Mimicking Birds

Glacial Pace Rec. 2010-03-09
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シンプルなアコギサウンドがさ迷い歩く、なんだか現実感が希薄でどこか物憂げなインディポップ。「日常回帰」というタームに帰着していなければもっともっと執心したかもしれない。いずれにせよ、時代が求めている音でがあるが、同時に時代の波には今は乗れない音楽なのかなあとも感じる。僕は好きだよ。ファニーで。

Myspace
 

posted by みかんぱ at 01:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 年間BEST | 更新情報をチェックする

今年は100枚やります。

今年もこの季節がやってまいりました。
年に1度のお祭り騒ぎ、「夕焼けあんたいとるど。BEST DISC」でございます。

忙しさにかまけて今年も紹介したい作品の半分も触れることができませんでした。いやはや。だからこそ、この場というものは大切にしたいと心から思うわけです。

チャートというものは生き物であり、ある瞬間を切り取ってそれを残しておくと追うことはなかなかリスキーなことではありますが、あとから振り返ってこの人間はこの年のこの瞬間には、そういう風に世の中を見つめていたのだなあ、とそんなことが浮かび上がってくるのが一番楽しいのでやっぱり今年もやりますよ、と。


停滞極まり2009年を抜けて開けてきたのは絶望という名の瓦礫の上で臆面もなく、ようやく自由に憧憬を奏でる、輝かしい新章の幕開け。

10年以上前にとんでもないほどに陽性のフィーリングで紡がれた「どうにもならない今日だけど 平坦な道じゃきっとつまらない 君と生きてく明日だから 這い上がるくらいでちょうどいい」という「それでも」と30年以上前に大きな意味での自由を願った人間が呟くように歌った「今日ですべてが終わるさ 今日ですべてがかわる 今日ですべてが報われる 今日ですべてが始まるさ」というラインをチャートの周辺に置いておきたい。

忌まわしき現代においてその機能性を高める過去の遺産がたくさんある。それを受けて「今」を生きる表現者は何を選択すべきか。悲観する香りはそこにはない。2008年以上の変革への確かな胎動を感じた1年。傍らにあった扉は常に開かれ続けていた、そのことと向き合う音が増えてきた。そう、ゼロ年代に僕が狂信者のように繰り返し続けた「否定からのそれでも」は新たなフェーズに突入したのだ。それが「日常への回帰」と「連帯への憧憬」。

仮に「今が昨日じゃなく 明日だということ 信じるだけなのさ」に対する遅すぎた回答がフェイク側から放たれた「今日が昨日みたい 明日は今日みたい 大丈夫 大丈夫 楽しかったら大正解」だけだったならば、この先も暗い時代だったかもしれないが、皆さん方もお気づきの通り、リアルからの宣誓も聞こえてきた、よね?


2010年代は反撃と勝利のディケイドになりますように。それを願って僕はこれからも音楽に対価を払い続ける。音楽に依存するということに対する疑念、ともすれば嫌悪感。音楽は僕らを救わないというその事実に気づいた者だけが見ることができる美しい日々。

音楽はもっと「僕はもう外に出るよ 独りよがりに君は震える 僕は降りるよ お先に もっともっともっともっと 君の為に何かすることがあるかしら?」と、あるいはもう正面切って「バイバイ 君といたってしょうがない。」というべきだ。


大きな意味を持たないこの誰でもない私人が他でもない自分のために並べた「チャート」という装置に、何か願いを込めるとすれば、日々を行くしかないという感覚を肯定的に感じ取ってくれる人が一人でもいてくれればいいなという、そんなことばかりなのである。

それでは、今年も夕焼けあんたいとるど。BEST DISC 100 最後まで楽しんでいただければ光栄です。


posted by みかんぱ at 01:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 年間BEST | 更新情報をチェックする

2010年11月12日

ファンファーレと熱狂 / andymori

ファンファーレと熱狂ファンファーレと熱狂
andymori

Youth Records 2010-02-03
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ストロークスとリバティーンズの合いの子みたいなのにタイトな演奏という不思議な魅力を放つ才能の塊バンドの新作。邦楽アーティストを取り巻くバンド物語だとか人となり至上主義な狭い世界にはまるで興味がないのではずれているのかもしれないが、ソングライター、相当周囲にムカついてますね。いや、それは周囲ではなく、自分なのかもしれないけれど。とにかくピリピリしたものを感じる。タイトな演奏はその緊張感の表れなのかもしれない。ただ、そうしたものの吐き出し方としてシニカルさをどこかに漂わせながらサラリとやってのけるというのがスマートでいい。世の中に対して言いたいことなんて何もない、なんてな。

クソみたいな世の中に対して苛立ちながらも虚無のポーズを取るということは他でもない「それでも」の体現であり、生きるための選択として平衡感覚の放棄と消失をPavementに教えてもらった僕のような人間であれば当然のように歓喜に震えるところである。それにしても何度も出てくる人身事故というモチーフが秀逸だ。この世界には上手に処理できない感情の方が多く渦巻いていて、それは人が集う場所であればさらに強くなる、そのことをよく表している。そして人身事故の被害者は誰だ、と思わずにはいられない。そして会えないのは、誰だ。

もう一つ白眉な点は「SAWASDEECLAP YOUR HANDS」における「パスポートやカードは昨日盗まれた/整形もしたし肌の色もどんどん変わっていって/SAWASDEECLAP YOUR HANDS」のライン。コミュニティが変わればすべては刷新され、表情が変わる。揺るがない自分なんてものはその個人だけでは成立しないし存在しないということを、そしてそのことを肯定と喜びをもって迎え入れることの大切さを彼らは知っている。

そう、苛立ちが通底する感情だとしても、ここでまとわれるフィーリングは祝祭的かつポップなものなのである。この絶妙なバランス感覚こそが絶対に正しいと思う。死ね、だとか勝手に世界終わらせてみたりだとか、そういうのはもういいよ。逃げ場なんかない。この日常をいくしかない。そしてそれはそう悪いものじゃないと、そう信じていかないとやってられないだろ?君にもアイアンメイデンのTシャツを着たオヤジがニッと笑う姿が見えることを願ってやまない。
 
Myspace
posted by みかんぱ at 02:27| Comment(0) | TrackBack(0) | CDレビュー | 更新情報をチェックする

2010年11月11日

Sleep Mountain / The Kissaway Trail

スリープ・マウンテンスリープ・マウンテン
ザ・キスアウェイ・トレイル

ホステス 2010-03-24
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デンマークのバンド、3年ぶりの2作目。オープナーから前作の「Smother + Evil = Hurt」「La La Song」で興奮したことを思い出す。そうそう、どこまでもいける感じが、このバンドの1stにはあったよなー、と。

基本路線は変わらず、アーケイドファイア的フォーマットを採用したキラキラした大地踏みしめポップ。圧倒的多幸感も相変わらず。ただどうなんだろう、コンセプチュアルな部分はいざ知らず、個々の楽曲のクオリティ自体は、前作の方が高かったような気がする。この起伏の無さは甘々な洋菓子を直線的にぶちこまれてるような感覚にも似た退屈さに直結してしまう。

1stレビュー時(2007)の僕の言葉を借りるなら、
「幼い頃、空を自由に飛び回りたいと願った事がある人は少なくないだろう。もしかすると、こんな時代だ、そう願うのは何も子どもたちばかりではなく、大人たちの方がむしろ多いくらいなのかもしれない。僕も例に漏れず、そうした「解放されたい願望」を持った事は確かにある。しかし最近思うのは、解放され「どこでもない場所」へと飛び立っていくのではなく、この複雑な時代を、それらを全て引き受け、引き連れた上で地に足をつけて力強く歩きたいという事だ。デンマークの新人バンド、キスアウェイトレイルの1stはその傍らに常にあってほしい、そんなアルバムだ。」と感じさせる瞬間は大きく減退したということだ。

前作の成功の度合いを考えれば、これが2ndアルバムシンドロームに当てはまるのかは分からないが、これで興味を持った方には前作をお勧めする、そういう立ち位置にある作品のように思える。

Myspace
posted by みかんぱ at 01:27| Comment(0) | TrackBack(0) | CDレビュー | 更新情報をチェックする

2010年11月10日

Young / Summer Camp

YOUNGYOUNG
サマー・キャンプ

VINYL JUNKIE 2010-09-08
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チルウェイブだとかグローファイだとかまあ大きく括ればビーチポップもそうか、とにかくそういうジャンルはいつも通りよくわからないのだけれども、少なくともいつぞやのニューレイヴよりは思想面でも実態がありそうな気がしている。とはいえ、個人的なテーマがレジュメできている時はそういうブームにはまるで見向きもしないので、何がどうなっているかはよく分からない。伝え聞くところによればそれは逃避と結びついている側面があるということだから、残念ながら今の僕とは相容れないということになる。まあそれでも一枚くらい聞いてみるかとショップで展開されていたコーナーから視聴もせずに選んだのがこれ。完全にジャケ買い。タイトル買い。

で、この中身の無さはなんなんでしょうか。大変素晴らしいです。けだるいヴォーカルとリヴァーヴ。ソフトな白昼夢。このジャンルはもう少し楽天的な音楽のイメージがありましたがああ、なるほど調べてみれば彼らはイギリスのバンドだった。どこまでも曇天の逃避と憧憬。夏の終わりでこそという感じではあるが、「もしもし」からリリースされたデビューシングル「Ghost Train」やNWな「Round The Moon」を聴く限り、ポップポテンシャルは低くはなさそうなので、今後にも注目。
ところで、Summercampというバンド名を聴くと90年代のパワポバンドを思い出すが、全く関係ないのですね。いやはや。

Myspace
posted by みかんぱ at 14:55| Comment(0) | TrackBack(0) | CDレビュー | 更新情報をチェックする

2010年11月08日

Clay Stones / We Are The World

Clay StonesClay Stones
We Are The World

Manimal Vinyl 2010-04-13
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妖艶で高潔。現時点で文句なしの今年最も素晴らしい作品だといえる。コンセプト先行、観念的かつ先鋭的なヴィジュアルでヤバイにおいを待ちきらす、頭からタイツをかぶったサイケデリックサーカス団、その名もWe Are The Worldのフルレンス。

一応のジャンル分けはテクノとかあのあたりになるのだろうか。ただ、どこまでも暴力的なビートにスリリングなトラックが躍る、で、タイツ姿で祈りを捧げるというある意味ではベタベタなアヴァンギャルドさがあって規定するのが難しいサウンドである。

情報が少なすぎて何から話したらいいか分からないが、ファーストコンタクトが全身タイツの集団がクリスカニンガムの世界をブルーマンで再現してるみたいな映像だっだもんだから、もう正直僕の中の幼子の部分が号泣してて調べたくもない。こええよ。僕は芸術が分からない人間だからとにかく彼らの表現が怖くてしょうがない。それでものぞき見てしまう彼らのライヴパフォーマンスからは、幼いころに美術館で見た佐々木正芳氏の『ぬぎたいU』という作品で感じた甘美な恐怖に魂が震えたあの瞬間が立ちあがってくる。そのヴィジュアル的側面は正直人を選ぶが、音楽は、鳴らされている世界は、あまりに美しすぎて一部の隙もない完璧さ。
僕個人の薄っぺらい人生の中では、ゴダールの『気狂いピエロ』のラスト以来、感動の引き出しの開いたことのない部分が一斉に音をたてた金字塔アルバムである。嗚呼。

Myspace

PV - "Clay Stones"
Live - at the Echoplex
posted by みかんぱ at 01:21| Comment(0) | TrackBack(0) | CDレビュー | 更新情報をチェックする

2010年11月06日

Dark Night Of The Soul / Danger Mouse & Sparklehorse

Dark Night of the SoulDark Night of the Soul
Danger Mouse

Capitol 2010-07-12
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豪華なゲスト陣によって制作されたSparklehorseとDanger Mouse、David Lynchのコラボ作。EMIとのゴタゴタを乗り越えて正式盤としてリリース。David Lynchの写真集やトレーラーなども一つのセットとして考えられるからコンセプトアルバムとしての側面が強いのかと思いきや、肝心の音づくりの方では参加ヴォーカリストによって曲のフォーマットを変えるなど、コンピ色も十分楽しめるものになっている。
参加者はPixiesのフランシス、Strokesのジュリアン(どこに出してもセレブリティでセクシーだ)、Shinsのジェイムスやイギーポップ(!)、ファーリーズ、スザンヌ・ヴェガの名前まで。まあこれだけのメンツであれば統一感もへったくれもないか、という感じではあるが、そこは2人のプロダクションが本当に巧みで、Sparklehorseのコラージュ感と同居させても全く違和感がないものに仕上がっている。本当に、マーク・リンカスは才気あふれる人だった。もっともっと彼の作品を聴きたかったな。本当に惜しい人を亡くした。そういう思いがまた一段と強くなる作品。ニーナからスザンヌ・ヴェガの流れが『Dreamt For Light Years In The Belly Of A Mountain』(2006)を想起させ、涙が出そうだ。

 
Official Website
posted by みかんぱ at 21:39| Comment(0) | TrackBack(0) | CDレビュー | 更新情報をチェックする

言葉にならない、笑顔を見せてくれよ / くるり

言葉にならない、笑顔をみせてくれよ(初回限定盤)(DVD付)言葉にならない、笑顔をみせてくれよ(初回限定盤)(DVD付)
くるり くるりとユーミン

ビクターエンタテインメント 2010-09-08
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前作「魂のゆくえ」は荒野を独りで行くような、本当にさびしいアルバムだった。それはアートワークからも存分に感じられたことであった。さて今作。そのアートワークをまず見てみると清水池公園前を思わせる景色上に踊る「さよならアメリカ」「東京レレレのレ」の文字。そこから連想されるほどにオリエンタルなアルバムかというと、少なからずそういう側面はあるにせよ、むしろ大きなキーワードはやはり「日常回帰」だろうと思われる。

「ワルツを踊れ」が最高傑作である、という考えは今でも変わらないが今年の個人的なモードはあちら側に行ってしまうことではなく、今かろうじて自分が依拠しているこの日々というものをもう一度愛しみを持って見つめ直すということである。そういう意味で観念的な部分以外でのギミックへの無頓着さとともに放たれる「は〜あっちちのち〜」にどうしようもないほどに感動してしまう。そう、とにもかくにも「温泉」が白眉なのだ。そこからシングル「魔法のじゅうたん」「シャツを洗えば」への流れはポップで肯定的なフィーリングで久しぶりにコマーシャルでいいと思うし、後半「犬とベイビー」で頂点を迎える枯れた意匠はそれをまとうことによってこの作品全体の説得力を押し上げていてバランス感も十分。ただ、ラストの「麦茶」だけがやたらストレンジ。ケトルについた水滴から浮かび上がってくる、前進しようとする主人公の気持ちというものが、本当にシンプルで無表情なアレンジにのせて歌われている。えっ、これがラスト?と思ってしまうほどにそっけない。でも、ものすごく惹かれる楽曲。これが次にどうつながっていくのか楽しみでもある。

「否定からのそれでも」の時もそうだったけれど、自分の嗜好をレジュメできている時というのは、自然とそういう音楽が集まってくるような気がする。アンテナが明確な方向性を持っている、ということなのかもしれない。僕のように執心したアーティストが既に活動していなかったりする場合、そこが定まっているかどうかは豊潤な音楽享受生活には欠かせない。この作品に限らず日常に回帰すること、日々は続いていくんだということをしっかりと言う表現が増えているのを感じる。振り返った時に2010年は幸せだったといえるかもしれない。このまま潔癖で狭い世界はいったん駆逐されてしまえばいいのに。
 
 
posted by みかんぱ at 01:32| Comment(0) | TrackBack(0) | CDレビュー | 更新情報をチェックする

2010年11月05日

放課後ティータイムU / 放課後ティータイム

TVアニメ「けいおん! ! 」劇中歌集 放課後ティータイム II(通常盤)TVアニメ「けいおん! ! 」劇中歌集 放課後ティータイム II(通常盤)
放課後ティータイム

ポニーキャニオン 2010-10-27
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暴力的なバズを引っさげたフェイクバンドの2ndにして初のフルレンス。

すっかり本編どうでもいい組からは脱落してしまった。慣れというものは恐ろしいもので、1年も聴き続ければ当然なのかもしれないが、平沢御大の地獄の業火みたいなヴォーカルに違和感を覚えなくなっている。それどころかラスト「放課後ティータイム」においては田井中女史の浮きっぷりと比較するとその差は歴然な見事なマッチングにある種の感動すら覚える。こういう部分に起因する私はいーんだよ!という部長の(たまに見せる)奥ゆかしさを愛さずにはいられない。

いかん、音の話をしよう。
通底するのは1st同様「よき90年代の体現」だ。Hysteric Blueの自爆から約10年。やっとこういうのが出るくらいには1周したのかな、という感じ。ギタポ / パワポマナーにそった楽曲だらけで安心して聴ける。「ごはんはおかず」だけは平沢御大のベギラゴンと沢庵和尚の頭のおかしいリフが炸裂してますが。何がアツアツホカホカだバカ。もちろんこういう作品だから「冬の日」の律にせよ「U&I」の憂にせよ、もっと言えば「天使に触れたよ!」の中野さんにせよ、アニメありきになってしまう部分というのはどうしてもあるが、90年代のJ-Popで育ってきた人間には楽曲そのものでも十分に楽しめる作品だとは思う。僕が幼い頃は陽のあたる場所にいる若い人たちってこういう音を鳴らしていたような気がするのだが、今や傷を舐めあうような世界ばかりが目につくからね。そういう意味でも、懐かしさはある。やたらハイファイな音づくりは相変わらずだけど下品なストリングスでベタ塗りするのとはちょっと手法が違っているので、許容範囲。まあ1stと比べるとちょっと派手すぎるというか、かっこつけすぎな部分はあるけどね。とにかくソングという部分で琴線に触れるのがいい。参照点があからさまなのがあっても、高校生の音楽はそれぐらいでちょうどいいと思う。何気に「ふわふわ時間」のリフアレンジであるInterludeがいい仕事をしている。頭のネジが吹っ飛んだ面白Tシャツガールの声がないと色眼鏡が取れますね奥さん。

まあ冷静になれば粗はたくさん見えてくるのだろうし、ハイティーン以降で恥ずかしげもなく自分の想いを「ぴゅあぴゅあ」とか言ってのける神経は、齢20ちょっとになっても「男の子と女の子」の世界を地で行く人間の醜悪さを思い出させるようで、外野の視線よろしく気持ち悪いと思うが、入れ込んでしまえばもうどうしようもないのである。私人でよかったと思う瞬間だ。

りっちゃん派としてはやはりハイライトは「冬の日」だろう。誰から誰にあてられたものかは別として、この曲だけは今作随一のどうしようもないほどの「日常」なのだ。とにかく今年の僕は「日常」を切り取られると弱い。例えそれが一切体験していないことだとしも、どこかにあったような気がする部分をくすぐったり、もう一つの可能世界を提示し、「まあそんなものないんだけどね」ってカラッと笑ったりするようなそんな距離感がJ-Popの良さじゃなかったか。そう、僕に10代なんかなかった。でも、だからこそじゃないか。死ぬまでは、終わりじゃないんだ。前髪を下ろしたきみの姿を見せてくれないか。
 

シングルのあれはこっち→http://sunset-untitled.seesaa.net/article/161871727.html
 
posted by みかんぱ at 03:03| Comment(0) | TrackBack(0) | CDレビュー | 更新情報をチェックする
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