2008年05月18日

The Colourful Life / Cajun Dance Party

カラフル・ライフ 自分が17歳だった時の事を考えてみる。当時僕は世の中を憂い、憎しみながらもその世の中に支えられてしか生き延びれないという事実にいささか辟易し、出所のはっきりしない焦燥感に苛まれては頻繁に絶望していた。要するに、長々と思春期を患っていたわけだ。

 イギリスの同じく17歳〜18歳の少年少女5人組が作ったこの作品を聴きながら当時の僕に仮に作品を作る力があったのならここまで瑞々しいものになったのだろうか、と思う。恐らく、それはない。全9曲、思わず目を背けたくなるほどに、まぶしい。そしてどこまでもスウィーティ。それは恐らく、今作のプロデュースを担当したバーナードバトラーの力も大きいところであろう。

 それにしれも2枚のシングル「The Next Untouchable」「Amylase」の時点でメディアの騒ぎっぷりは凄かった。
 昨今のアンダーエイジムーヴメントとか、体育会系の労働者階級バンドたちが席巻するシーンへのカウンターの旗手としての期待とか、その他諸々の要因があっての事なのだとは思うけれど、確かにその2枚のシングルは抜群に良かった(まあ僕はそれ以上にロス・キャンペシーノス!とドレイトーンズに夢中になっていたのだけれども)。

 ただ結論から言えば、メディアの期待通りの、新世代の到来を宣言するような、シーンをドラスティックに塗り替えるようなそんな1stアルバムにはなっていない。そもそも彼ら自体、そこにはあまり拘りはなかったのかもしれない。今作は初期の楽曲の集合体になっており、意図的に今と今後とを切り離しにかかっているのが窺えたり、年内には早くも2ndのリリース予定があったり(!)というところからもそれは分かるだろう。メディアに乗せられる事もなく、また気負う事もなく、真っ直ぐと自分たちを見つめる―各所で「恐るべき子どもたち」なんて煽られ方をしているが、「恐れ」を抱くとするならばそういう視座にこそ、なのかもしれない。

 とはいえ「瑞々しい」という話をした通り、そうしたドライな視座で作品が構成されているわけではない。身も蓋も無い言い方をすれば「青春群像劇」。かのシングル「The Next Untouchable」にしても『君は僕のことが本当に好きなのかい?』だもんな。冒頭からいきなり極めて健全な思春期の揺れ動きを描いてそれに「カラフルライフ」と臆面も無く冠してしまうあたり、もうそれだけで10代を肯定してしまいそうになるよね。いや、というよりも肯定していいんだろうな。この時期にしか書けない、また書いちゃいけない世界だもの。

 作品中随一のミニマルトラック「No Joanna」も白眉。そして作品全体において饒舌すぎるギターに負けじと情感たっぷりに歌い上げる「Buttercups」も素敵。そう、あちこちに伸びしろが、原石が転がっているのだ。初期衝動とは違う、ある種の耽美的な原石。

 彼らを「まーたハイプか」と一蹴してしまうのは容易い。
 だが僕は、この作品が彼らの「Pablo Honey」なのかどうかをもう少し見守っていきたいと思う。
 そう思わせる力は、確かにあった。

Official WebSite
Myspace
posted by みかんぱ at 17:19| Comment(0) | TrackBack(0) | CDレビュー | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/97150989

この記事へのトラックバック