夕焼けあんたいとるど。

2010年11月12日

ファンファーレと熱狂 / andymori

ファンファーレと熱狂ファンファーレと熱狂
andymori

Youth Records 2010-02-03
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ストロークスとリバティーンズの合いの子みたいなのにタイトな演奏という不思議な魅力を放つ才能の塊バンドの新作。邦楽アーティストを取り巻くバンド物語だとか人となり至上主義な狭い世界にはまるで興味がないのではずれているのかもしれないが、ソングライター、相当周囲にムカついてますね。いや、それは周囲ではなく、自分なのかもしれないけれど。とにかくピリピリしたものを感じる。タイトな演奏はその緊張感の表れなのかもしれない。ただ、そうしたものの吐き出し方としてシニカルさをどこかに漂わせながらサラリとやってのけるというのがスマートでいい。世の中に対して言いたいことなんて何もない、なんてな。

クソみたいな世の中に対して苛立ちながらも虚無のポーズを取るということは他でもない「それでも」の体現であり、生きるための選択として平衡感覚の放棄と消失をPavementに教えてもらった僕のような人間であれば当然のように歓喜に震えるところである。それにしても何度も出てくる人身事故というモチーフが秀逸だ。この世界には上手に処理できない感情の方が多く渦巻いていて、それは人が集う場所であればさらに強くなる、そのことをよく表している。そして人身事故の被害者は誰だ、と思わずにはいられない。そして会えないのは、誰だ。

もう一つ白眉な点は「SAWASDEECLAP YOUR HANDS」における「パスポートやカードは昨日盗まれた/整形もしたし肌の色もどんどん変わっていって/SAWASDEECLAP YOUR HANDS」のライン。コミュニティが変わればすべては刷新され、表情が変わる。揺るがない自分なんてものはその個人だけでは成立しないし存在しないということを、そしてそのことを肯定と喜びをもって迎え入れることの大切さを彼らは知っている。

そう、苛立ちが通底する感情だとしても、ここでまとわれるフィーリングは祝祭的かつポップなものなのである。この絶妙なバランス感覚こそが絶対に正しいと思う。死ね、だとか勝手に世界終わらせてみたりだとか、そういうのはもういいよ。逃げ場なんかない。この日常をいくしかない。そしてそれはそう悪いものじゃないと、そう信じていかないとやってられないだろ?君にもアイアンメイデンのTシャツを着たオヤジがニッと笑う姿が見えることを願ってやまない。
 
Myspace
posted by みかんぱ at 02:27| Comment(0) | TrackBack(0) | CDレビュー | 更新情報をチェックする

2010年11月11日

Sleep Mountain / The Kissaway Trail

スリープ・マウンテンスリープ・マウンテン
ザ・キスアウェイ・トレイル

ホステス 2010-03-24
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デンマークのバンド、3年ぶりの2作目。オープナーから前作の「Smother + Evil = Hurt」「La La Song」で興奮したことを思い出す。そうそう、どこまでもいける感じが、このバンドの1stにはあったよなー、と。

基本路線は変わらず、アーケイドファイア的フォーマットを採用したキラキラした大地踏みしめポップ。圧倒的多幸感も相変わらず。ただどうなんだろう、コンセプチュアルな部分はいざ知らず、個々の楽曲のクオリティ自体は、前作の方が高かったような気がする。この起伏の無さは甘々な洋菓子を直線的にぶちこまれてるような感覚にも似た退屈さに直結してしまう。

1stレビュー時(2007)の僕の言葉を借りるなら、
「幼い頃、空を自由に飛び回りたいと願った事がある人は少なくないだろう。もしかすると、こんな時代だ、そう願うのは何も子どもたちばかりではなく、大人たちの方がむしろ多いくらいなのかもしれない。僕も例に漏れず、そうした「解放されたい願望」を持った事は確かにある。しかし最近思うのは、解放され「どこでもない場所」へと飛び立っていくのではなく、この複雑な時代を、それらを全て引き受け、引き連れた上で地に足をつけて力強く歩きたいという事だ。デンマークの新人バンド、キスアウェイトレイルの1stはその傍らに常にあってほしい、そんなアルバムだ。」と感じさせる瞬間は大きく減退したということだ。

前作の成功の度合いを考えれば、これが2ndアルバムシンドロームに当てはまるのかは分からないが、これで興味を持った方には前作をお勧めする、そういう立ち位置にある作品のように思える。

Myspace
posted by みかんぱ at 01:27| Comment(0) | TrackBack(0) | CDレビュー | 更新情報をチェックする

2010年11月10日

Young / Summer Camp

YOUNGYOUNG
サマー・キャンプ

VINYL JUNKIE 2010-09-08
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チルウェイブだとかグローファイだとかまあ大きく括ればビーチポップもそうか、とにかくそういうジャンルはいつも通りよくわからないのだけれども、少なくともいつぞやのニューレイヴよりは思想面でも実態がありそうな気がしている。とはいえ、個人的なテーマがレジュメできている時はそういうブームにはまるで見向きもしないので、何がどうなっているかはよく分からない。伝え聞くところによればそれは逃避と結びついている側面があるということだから、残念ながら今の僕とは相容れないということになる。まあそれでも一枚くらい聞いてみるかとショップで展開されていたコーナーから視聴もせずに選んだのがこれ。完全にジャケ買い。タイトル買い。

で、この中身の無さはなんなんでしょうか。大変素晴らしいです。けだるいヴォーカルとリヴァーヴ。ソフトな白昼夢。このジャンルはもう少し楽天的な音楽のイメージがありましたがああ、なるほど調べてみれば彼らはイギリスのバンドだった。どこまでも曇天の逃避と憧憬。夏の終わりでこそという感じではあるが、「もしもし」からリリースされたデビューシングル「Ghost Train」やNWな「Round The Moon」を聴く限り、ポップポテンシャルは低くはなさそうなので、今後にも注目。
ところで、Summercampというバンド名を聴くと90年代のパワポバンドを思い出すが、全く関係ないのですね。いやはや。

Myspace
posted by みかんぱ at 14:55| Comment(0) | TrackBack(0) | CDレビュー | 更新情報をチェックする

2010年11月08日

Clay Stones / We Are The World

Clay StonesClay Stones
We Are The World

Manimal Vinyl 2010-04-13
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妖艶で高潔。現時点で文句なしの今年最も素晴らしい作品だといえる。コンセプト先行、観念的かつ先鋭的なヴィジュアルでヤバイにおいを待ちきらす、頭からタイツをかぶったサイケデリックサーカス団、その名もWe Are The Worldのフルレンス。

一応のジャンル分けはテクノとかあのあたりになるのだろうか。ただ、どこまでも暴力的なビートにスリリングなトラックが躍る、で、タイツ姿で祈りを捧げるというある意味ではベタベタなアヴァンギャルドさがあって規定するのが難しいサウンドである。

情報が少なすぎて何から話したらいいか分からないが、ファーストコンタクトが全身タイツの集団がクリスカニンガムの世界をブルーマンで再現してるみたいな映像だっだもんだから、もう正直僕の中の幼子の部分が号泣してて調べたくもない。こええよ。僕は芸術が分からない人間だからとにかく彼らの表現が怖くてしょうがない。それでものぞき見てしまう彼らのライヴパフォーマンスからは、幼いころに美術館で見た佐々木正芳氏の『ぬぎたいU』という作品で感じた甘美な恐怖に魂が震えたあの瞬間が立ちあがってくる。そのヴィジュアル的側面は正直人を選ぶが、音楽は、鳴らされている世界は、あまりに美しすぎて一部の隙もない完璧さ。
僕個人の薄っぺらい人生の中では、ゴダールの『気狂いピエロ』のラスト以来、感動の引き出しの開いたことのない部分が一斉に音をたてた金字塔アルバムである。嗚呼。

Myspace

PV - "Clay Stones"
Live - at the Echoplex
posted by みかんぱ at 01:21| Comment(0) | TrackBack(0) | CDレビュー | 更新情報をチェックする

2010年11月06日

Dark Night Of The Soul / Danger Mouse & Sparklehorse

Dark Night of the SoulDark Night of the Soul
Danger Mouse

Capitol 2010-07-12
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豪華なゲスト陣によって制作されたSparklehorseとDanger Mouse、David Lynchのコラボ作。EMIとのゴタゴタを乗り越えて正式盤としてリリース。David Lynchの写真集やトレーラーなども一つのセットとして考えられるからコンセプトアルバムとしての側面が強いのかと思いきや、肝心の音づくりの方では参加ヴォーカリストによって曲のフォーマットを変えるなど、コンピ色も十分楽しめるものになっている。
参加者はPixiesのフランシス、Strokesのジュリアン(どこに出してもセレブリティでセクシーだ)、Shinsのジェイムスやイギーポップ(!)、ファーリーズ、スザンヌ・ヴェガの名前まで。まあこれだけのメンツであれば統一感もへったくれもないか、という感じではあるが、そこは2人のプロダクションが本当に巧みで、Sparklehorseのコラージュ感と同居させても全く違和感がないものに仕上がっている。本当に、マーク・リンカスは才気あふれる人だった。もっともっと彼の作品を聴きたかったな。本当に惜しい人を亡くした。そういう思いがまた一段と強くなる作品。ニーナからスザンヌ・ヴェガの流れが『Dreamt For Light Years In The Belly Of A Mountain』(2006)を想起させ、涙が出そうだ。

 
Official Website
posted by みかんぱ at 21:39| Comment(0) | TrackBack(0) | CDレビュー | 更新情報をチェックする

言葉にならない、笑顔を見せてくれよ / くるり

言葉にならない、笑顔をみせてくれよ(初回限定盤)(DVD付)言葉にならない、笑顔をみせてくれよ(初回限定盤)(DVD付)
くるり くるりとユーミン

ビクターエンタテインメント 2010-09-08
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前作「魂のゆくえ」は荒野を独りで行くような、本当にさびしいアルバムだった。それはアートワークからも存分に感じられたことであった。さて今作。そのアートワークをまず見てみると清水池公園前を思わせる景色上に踊る「さよならアメリカ」「東京レレレのレ」の文字。そこから連想されるほどにオリエンタルなアルバムかというと、少なからずそういう側面はあるにせよ、むしろ大きなキーワードはやはり「日常回帰」だろうと思われる。

「ワルツを踊れ」が最高傑作である、という考えは今でも変わらないが今年の個人的なモードはあちら側に行ってしまうことではなく、今かろうじて自分が依拠しているこの日々というものをもう一度愛しみを持って見つめ直すということである。そういう意味で観念的な部分以外でのギミックへの無頓着さとともに放たれる「は〜あっちちのち〜」にどうしようもないほどに感動してしまう。そう、とにもかくにも「温泉」が白眉なのだ。そこからシングル「魔法のじゅうたん」「シャツを洗えば」への流れはポップで肯定的なフィーリングで久しぶりにコマーシャルでいいと思うし、後半「犬とベイビー」で頂点を迎える枯れた意匠はそれをまとうことによってこの作品全体の説得力を押し上げていてバランス感も十分。ただ、ラストの「麦茶」だけがやたらストレンジ。ケトルについた水滴から浮かび上がってくる、前進しようとする主人公の気持ちというものが、本当にシンプルで無表情なアレンジにのせて歌われている。えっ、これがラスト?と思ってしまうほどにそっけない。でも、ものすごく惹かれる楽曲。これが次にどうつながっていくのか楽しみでもある。

「否定からのそれでも」の時もそうだったけれど、自分の嗜好をレジュメできている時というのは、自然とそういう音楽が集まってくるような気がする。アンテナが明確な方向性を持っている、ということなのかもしれない。僕のように執心したアーティストが既に活動していなかったりする場合、そこが定まっているかどうかは豊潤な音楽享受生活には欠かせない。この作品に限らず日常に回帰すること、日々は続いていくんだということをしっかりと言う表現が増えているのを感じる。振り返った時に2010年は幸せだったといえるかもしれない。このまま潔癖で狭い世界はいったん駆逐されてしまえばいいのに。
 
 
posted by みかんぱ at 01:32| Comment(0) | TrackBack(0) | CDレビュー | 更新情報をチェックする

2010年11月05日

放課後ティータイムU / 放課後ティータイム

TVアニメ「けいおん! ! 」劇中歌集 放課後ティータイム II(通常盤)TVアニメ「けいおん! ! 」劇中歌集 放課後ティータイム II(通常盤)
放課後ティータイム

ポニーキャニオン 2010-10-27
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暴力的なバズを引っさげたフェイクバンドの2ndにして初のフルレンス。

すっかり本編どうでもいい組からは脱落してしまった。慣れというものは恐ろしいもので、1年も聴き続ければ当然なのかもしれないが、平沢御大の地獄の業火みたいなヴォーカルに違和感を覚えなくなっている。それどころかラスト「放課後ティータイム」においては田井中女史の浮きっぷりと比較するとその差は歴然な見事なマッチングにある種の感動すら覚える。こういう部分に起因する私はいーんだよ!という部長の(たまに見せる)奥ゆかしさを愛さずにはいられない。

いかん、音の話をしよう。
通底するのは1st同様「よき90年代の体現」だ。Hysteric Blueの自爆から約10年。やっとこういうのが出るくらいには1周したのかな、という感じ。ギタポ / パワポマナーにそった楽曲だらけで安心して聴ける。「ごはんはおかず」だけは平沢御大のベギラゴンと沢庵和尚の頭のおかしいリフが炸裂してますが。何がアツアツホカホカだバカ。もちろんこういう作品だから「冬の日」の律にせよ「U&I」の憂にせよ、もっと言えば「天使に触れたよ!」の中野さんにせよ、アニメありきになってしまう部分というのはどうしてもあるが、90年代のJ-Popで育ってきた人間には楽曲そのものでも十分に楽しめる作品だとは思う。僕が幼い頃は陽のあたる場所にいる若い人たちってこういう音を鳴らしていたような気がするのだが、今や傷を舐めあうような世界ばかりが目につくからね。そういう意味でも、懐かしさはある。やたらハイファイな音づくりは相変わらずだけど下品なストリングスでベタ塗りするのとはちょっと手法が違っているので、許容範囲。まあ1stと比べるとちょっと派手すぎるというか、かっこつけすぎな部分はあるけどね。とにかくソングという部分で琴線に触れるのがいい。参照点があからさまなのがあっても、高校生の音楽はそれぐらいでちょうどいいと思う。何気に「ふわふわ時間」のリフアレンジであるInterludeがいい仕事をしている。頭のネジが吹っ飛んだ面白Tシャツガールの声がないと色眼鏡が取れますね奥さん。

まあ冷静になれば粗はたくさん見えてくるのだろうし、ハイティーン以降で恥ずかしげもなく自分の想いを「ぴゅあぴゅあ」とか言ってのける神経は、齢20ちょっとになっても「男の子と女の子」の世界を地で行く人間の醜悪さを思い出させるようで、外野の視線よろしく気持ち悪いと思うが、入れ込んでしまえばもうどうしようもないのである。私人でよかったと思う瞬間だ。

りっちゃん派としてはやはりハイライトは「冬の日」だろう。誰から誰にあてられたものかは別として、この曲だけは今作随一のどうしようもないほどの「日常」なのだ。とにかく今年の僕は「日常」を切り取られると弱い。例えそれが一切体験していないことだとしも、どこかにあったような気がする部分をくすぐったり、もう一つの可能世界を提示し、「まあそんなものないんだけどね」ってカラッと笑ったりするようなそんな距離感がJ-Popの良さじゃなかったか。そう、僕に10代なんかなかった。でも、だからこそじゃないか。死ぬまでは、終わりじゃないんだ。前髪を下ろしたきみの姿を見せてくれないか。
 

シングルのあれはこっち→http://sunset-untitled.seesaa.net/article/161871727.html
 
posted by みかんぱ at 03:03| Comment(0) | TrackBack(0) | CDレビュー | 更新情報をチェックする
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